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重大事故が起きるまで何もしない…極寒の知床でも「救命胴衣」を義務付けていた国交省の無責任 事業者に安全管理を徹底させるには「組織罰」の導入しかない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)


なぜ重大事故の遺族は悲嘆に暮るしかないのか


知床半島沖で観光船が遭難した事故で、第一管区海上保安本部は、業務上過失致死、業務上過失往来危険の容疑を視野に、運航会社の事務所や社長・船長の自宅と、関係先の家宅捜索を行うなど、捜査を進めている。


2022年4月24日、北海道斜里町のウトロ港で報道陣の取材に応じる斉藤鉄夫国土交通相

写真=時事通信フォト

2022年4月24日、北海道斜里町のウトロ港で報道陣の取材に応じる斉藤鉄夫国土交通相


26人の乗客・乗員のうち、5月5日現在までに見つかった14人が死亡、残る12人が行方不明となっている。遭難現場付近の海底120メートルに、遭難した観光船「KAZU I」が沈んでいるが、まだ船体は引き揚げられていない。生存者がいないこともあって、事故原因の究明は容易ではない。事故の刑事責任追及も困難を極めることになるだろう。


一方で、この観光船を運行していた「知床遊覧船」については、安全対策に関して重大な問題があったことが明らかになっている。他の観光船は、4月30日からの運航なのに、同社の観光船のみ、一週間早く運行を開始していたこと。強風・波浪注意報が発令され、漁業者の多くは操業を見合わせる中で、観光船「KAZU I」が単独で出航したこと。数カ月前から船と連絡を取り合うための無線機のアンテナが壊れ昨年にも事故を2件起こしていたことなどがわかっている。


ずさんな安全対策で多くの人命が奪われる重大事故が発生する度に、加害者側の刑事責任が議論されてきた。ところが、現行法では刑事責任などを立証するには高いハードルがあり、多くの事故では、尊い肉親の命を奪われたことへの責任の所在すら明らかにならず、遺族は、やり場のない怒りを抱え、悲嘆に暮れるということが繰り返されてきた。


今回の観光船事故でも、そうなる恐れがある。なぜ刑事責任を問うことは難しいのか。過去の重大事故の事例と対比しつつ、刑事責任追及のための法制度を考えてみたい。


「大変なことになった」船長からの無線が途絶えるまで


今回の観光船事故の発生に至る事実経過は、報道によれば、おおむね以下のようなものだ。


「KAZU I」は、4月23日午前10時に出航し、午後1時に帰港の予定だった。出航時点では波高は32センチだったが、気象庁は同日午前3時すぎに強風注意報、午前9時40分ごろには波浪注意報を発令し、次第に風や波が高まると予想されていた。


事故の当日、観光船の船長は別の運航会社と無線で連絡を取り合っていた。最初に連絡を取ったのが、帰港の予定時間の午後1時を過ぎた頃である。


1回目は、船長から「カシュニの滝を通過した」、2回目は「波が高くなった。ゆっくり航行するので港に戻るのが遅れる」、最後となった3回目は、突然、緊迫した様子になり、数分後に状況は一変する。


切羽詰まった声で、「浸水してエンジンが止まっている。前の方が沈んでいる」との声も響いた。「大変なことになった」と伝え、「ライフジャケットを着せろ」と誰かに声をかける音声が聞こえ、このやり取り以降、無線は途絶えたとのことだ。


以上の経過からすると、今回の事故の要因としては、波浪注意報が出され、次第に風と波が高まる予報が出ていたのに出航し、実際に遭難時には天候が悪化していたこと、何らかの原因で、船体に損傷が生じたことなどが考えられる。






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