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東大合格者減少で男子御三家・武蔵の校長が危機感、「“受験教育は悪”から脱却」の新方針 | わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾 | ダイヤモンド・オンライン


杉山剛士・武蔵高等学校中学校校長インタビュー


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わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾#番外編Photograph by Shotaro Hamaguchi

私立中高一貫校、男子御三家の一角、武蔵が今年、創立100周年を迎えた。だが、杉山剛士校長は「いつまでも昔の名前でやっていても仕方がない」と危機感を吐露する。東京大学の合格実績で開成や麻布に大きく水をあけられ、魅力の一つである「(大学)受験にこだわらない教育」がもろ刃の剣になりつつあるからだ。特集『わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾』(全26回)の番外編では、杉山校長本人が登場。現在の武蔵の強み・弱みと、重大ミッションである “進路指導改革”の現状を激白する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

日本初の七年制高校学校として創立も

現在の武蔵が直面する「危機」とは

 中学受験における首都圏・男子御三家の一角、武蔵高等学校中学校は100年前の1922年、日本初の七年制高等学校(旧制武蔵高等学校)として創立された。

 以降、首都圏私立中学の最難関校の一角であり続け、合格者の多くはSAPIX(サピックス)や早稲田アカデミーといった大手進学塾出身の中でも最優秀層で占められている(本特集#23『【中学受験2023】御三家・早慶付・小石川…首都圏「難関19校に強い塾」ランキング!過去16年の実績データで判明』参照)。

 入試を突破した精鋭を待ち受けているのは、「(大学)受験にこだわらない教育」を掲げる武蔵ならではの「学問の本質」を重んじる独自教育だ。

 何しろ、武蔵には制服や修学旅行が存在しない。その一方で、中学3年時に自らの興味関心を追究した大学生顔負けの(?)「卒論(卒業研究)」を書き上げねばならない。

 また授業では「少人数×対話」を重視し、生徒同士が議論で盛り上がることもしばしばだ。一般的な学校であれば授業中の私語は厳禁だが、武蔵は逆に「ワイワイしているのが特徴」だと、自身も卒業生である杉山剛士校長は語る。

 だが、こうした独自教育は、大学入試対策には直結しないもろ刃の剣でもある。

 実は、武蔵の生徒の学力伸長度は高く、大学受験までに偏差値が“後伸び”できる学校を分析した本特集の「レバレッジ度ランキング」で、武蔵は男子御三家の中ではトップだ(本特集#3『「お得な中高一貫校」ランキング【首都圏・難関校】入試偏差値60以上で名門大に強いのは?』参照)。だが、その一方で、難関中高一貫校の大学受験における実力を測る最大指標、国内最難関大学、東京大学への合格者数となると、武蔵の影は途端に薄くなってしまうのだ。

 生徒数に差があるため単純比較はできないものの、同じ御三家の開成(卒業生390人)では2021年に146人が東大に合格。同じく麻布(同311人)からは21年に86人の東大合格者が誕生している。これに対し、武蔵(同170人)の東大合格者数は21年が28人と生徒数の差を考慮しても見劣りは否めない。

 つまり、独自教育による生徒の探求心育成によって真の意味での学問好きは多いが、すさまじい受験教育が不可欠な東大合格には届かない、と言えそうだ(ちなみに、京都大学の合格者数では逆に、生徒数で劣る武蔵が他の2校を上回る合格者を出している)。

 次ページからは、この大学受験の状況に「危機感がある」という杉山校長を直撃。杉山校長は武蔵OBで東大に進み、埼玉県立浦和高校などで校長を歴任した人物だ。武蔵の内外を経験したからこそ語れる同校の強み・弱みと共に、重大ミッションである 「進路指導改革」の未来を明かしてもらった――。

武蔵高等学校中学校

杉山剛士校長インタビュー

――生徒数が多いと競争原理が働きやすくなり、大学合格実績も出やすくなるはずです。それでも少人数制を重視するのはなぜですか。

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校長が明かす「武蔵から東大合格者が減った」理由とは?

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